台湾出張レポート|Computex Taipei 2018

日付:2018年07月03日 火曜日
テーマセミナー&イベント

近藤です。本ブログ100件目の記事は、台湾出張レポートをお送りします。

去る2018年6月5日~8日、私、台湾は台北に出張しておりました。

今回の出張ミッションは複数あったのですが、その一つが「COMPUTEX TAIPEI 2018」での商材探し。これがなかなかおもしろいことになっていました。

COMPUTEX TAIPEI は大きい

COMPUTEX TAIPEI は、台北で開催される世界有数規模の展示会です。過去のこのブログでも COMPUTEX TAIPEI は何度か登場していますね。⇒過去記事はこちら

そうそう、IIJがNextDrive社とお付き合いするようになったのも、何年か前のComptexがきっかけでした。

日本でもICT関連の展示会はいくつも開催されていますが、COMPUTEX TAIPEI はその規模がちょっと違います。ビックサイトや幕張メッセで行われる展示会の3~4倍の規模と考えてもらえればいいと思います。一つの会場でそんなスペースは確保できませんので、台北市内に3つの会場にわたって開催されます。

それはもう非常に多くの企業がブースを構えます。そして多くの国からバイヤーが集まります。台北は亜熱帯の都市で、6月という梅雨真っただ中という時期も相まって、会期中の台北は熱気がすごいったらないわけです。

COMPUTEX TAIPEI の注意点

日本からの来場者は多く、年々その数も増えているとか。ですが、日本人の来場者は出展企業にはあまり好まれていないという声を聞きました。言葉の壁とかそういったレベルの話ではなく「商談をしない」のが不評の原因のようです。

日本の展示会でも最近は(主催者側がやたらと)商談をする場にしていこうという流れがあるようですが、まだまだ定着していませんよね。あくまで展示会は見本市。企業は商品を展示して、来場者は商品の説明を聞いて興味があれば後日連絡を取って、さらに詳細を聞いて、そこで意中となればやっとこさ商談に入る。日本ではそういうものだと思います。

ですが、COMPUTEX TAIPEI はその場で商談をするのが基本。出展企業は「今売りたい商品を展示」していて、来場者は「年末商戦に投入する商品を探している」というのが共通理解(?)らしいです。実際、サンプル品をその場で売り買いしているケースを何度か目撃しまして、いやー、カルチャーショックでした。

そんな展示会なので、最先端の技術や商品の展示は(ほぼ)ありません。世界が羨む最先端から型落ちして、手の届く価格帯で製造できるようなった商品が多く展示されている。それが台湾の得意分野である、と言い切る方もいました。

多くの出展企業がターゲットしている市場は先進国ではないのです。今は中央アジア、アフリカで販売できる価格帯が一つの目安とも聞きました。

日本からの来場者は、これらのCOPMUTEX TAIPEI の注意点を知らずに来場する人が多い、とコーディネーターの方はなげいていました。肩透かしを食らい、あまつさえ失望して帰る方もいるとか。幸い私は事前に注意点を聞かされており、むしろそれは好都合と挑みましたので、純粋に商材探しを楽しめました。

今年の流行り

全会場を3日間の日中時間帯をすべて投じて回った私個人の感想です。ただ、今年の会に行った方はみな同じ感想のはず。

「eSports が今一番熱いんだなぁ」

これに尽きます。

VR?ドローン?スマートスピーカー?LPWA?展示が全然ありゃしません。(ゼロではないですが)eSports関連の商材花盛り、3つある会場の一つでは8~9割を占めるという状況でした。eSports関連の商材といっても多岐にわたるんですが、組立済みゲーミングPCに始まり、PCケース、キーボード、マウス、ヘッドセットマイク、そしてチェア。ある一角はゲーム用チェアばかり並んでいて、家具の展示会なんじゃないかというありさまでした。

長年この展示会に参加されている方曰く、「スマートスピーカーとかは勝負がきまってしまったから(みんな引上げちゃった)」なんでも昨年はいろんなスマートスピーカーが展示されていたそうです。勝負が決まってしまったジャンルは、COMPUTEX TAIPEI ではスグに姿が見えなくなるそうです。

ここ数年で勃興して消えたジャンルは「VRグラス」「ドローン」「3Dプリンタ」「スマートスピーカー」あたりだとか。逆を言えば、勝負が決まっていないジャンルがその年の “流行り” になるわけですね。面白い展示会です。来年もeSports関連が会場を占めているのか、”ドン勝”企業が現れているのか、ぜひ確認してみたいものです。

個人的に面白かったもの

さて、このあたりで私が何を探しに行ったかの話を、、と思ったのですが、そこは企業秘密です。

そこで業務とは直接関係はないものの、印象に残ったものをいくつかご紹介します。

その1 IoT的血液検査キット

会場内で複数の企業が展示していて興味深かったのが、ユーザーセルフで血液検査をするためのキット。

用途は血糖値を図る目的のようで、自分で指先に針を立てて血液を採取して、コンパクトな検査キットで現在の血糖値を検査検査・記録できるという。データはスマホアプリに蓄積したり、クラウドに送ったり、と商品によって差はあるものの、糖尿病の自己管理を狙ったものでした。

基本は医療設備が整っていなかったり、需要過多になっている地域に投入することを想定しているとのことで、中国本土などでは病院による導入実績があると謳う企業もあり、にわかに流行りつつあるようなにおいを感じました。

日本で販売できるかは法制度を調べていないのでわからん、という反応でしたが。

その2 空気のクオリティを見える化

空気のクオリティ=質(?)を図るソリューション。この手の商品も会場でチラホラ見かけました。

この機会は、PM2.5をはじめとする大気汚染物質を室内外で観測できる装置ですね。そしてユーザー同士で計測情報を共有できるようです。

この情報を分かった上で次の一手、というのはちょっと想像つかないのですが、マスクをして外出したり、そもそも外出を控えるような基準として使うんですかね。

日本の某計測チップメーカの方も、中国では空気質(?)計測器が流行り始めている、と言っていました。あまり実感のない話でしたが、商品が並び始めているのを見るに、本当に流行りが来つつあるのかも。

その3 鍋の番もIoT

一番変わり種だなぁ、と思ったのがこの商品。ただ似た商品がもう一つ展示されていて、流行一歩手前くらいなのかも。

鍋にセンサー部を突っ込んで、料理の出来上がり具合を計測するソリューション。リンクしたスマホアプリで食材と料理を選択すれば、適切な火加減や調理時間を管理してくれるらしいです。「ほんまかいな!」と声が出そうになりますが、大真面目な商品のようで。女性のバイヤーの方々が熱心に話を聞いていたのが印象に残っています。

台湾、特に台北は外食文化の印象があったのですが、自炊ブームがあるのでしょうか。レシピサイトは日本でも大人気ですが、一歩進んで料理(調理)を支援するIoTなんてのも近い将来(?)来るのかもしれません。

そして、NextDrive社ブース

IIJが日本で代理店をしていますNextDrive社。ブースは今回も大盛況でした。

ベンチャー企業が集う「InnoVEX」会場での出展は(参加規程により)今年で最後。全社あげて、かなり気合が入っていましたが、ガツガツした印象ではなく、とても洗練したイメージでまとめられていました。毎度かっこいい。

現在NextDrive社は日本市場に力を注いでいることもあり、説明書きは日本語がメインという割り切りぶり。それもあってか、日本人の来場者がとても多かった印象です。

今秋リリース予定の新バージョンのアプリや研究開発中のものも先行展示されており、これからの展開を予感させる素晴らしいブースとなっていました

来年からは、ベンチャーの枠を超え一般会場にて出展する予定とのこと。今後も目が離せません。

最後に

ここ数年、展示会は出展する側がずっと続いてましたので、来場者側というのは久しぶり過ぎて新鮮でした。

しかも、初めての海外展示会ということで、思いのほか楽しく、足が棒になるまで隅々まで回ってしまいました。

(そのかいか。ノンメーカーのモバイルバッテリーやスマホケースといった明日からすぐAmazonで自己ブランド始められちゃうどこかで見たような商材を山ほど発見。全く同じなのにブランドロゴだけが違う商品の出所が解けたり)

最先端とはまた違う活力あるICTを感じることができました。

みなさんも「いつかは」とはいわず、台湾はすぐそこです。来年は足を運んでみてはいかがでしょうか。