Bルート x メッセンジャー (1)

日付:2016年08月02日 火曜日
テーマテクノロジー

ken-kです。学生時代の研究テーマは「出力バッファ型ATM交換機のバッファサイズの検討」でした。シミュレーションに使ったマシンは、Sun Microsystems SPARCstation1 です。おっさんです。

メッセンジャー、使ってますか? 技術者なら「ずっと前からslack を使ってるよ」って方もいますよね。メッセンジャー、ほんとに手軽で便利ですよねえ。あまりに便利すぎて、情報システム部門の管理下にないメッセンジャーをこっそり仕方なく仕事で使っている方も多いようです。しかしこのような、いわゆるシャドーITを懸念する企業は多く、 国内でも企業向けのメッセンジャー(ビジネスチャットとも呼ばれる)が2014年あたりから登場し、利用企業が増えています。こうした背景でIIJは企業向け次世代型メッセンジャー”direct”を開発・運営する 株式会社LisB(エルイズビー)と2015年5月に資本業務提携しました。2016年3月にはプライベートクラウド版のdirectを共同で発表しました。このdirectに限らず企業向けメッセンジャーサービスは増えており、導入企業は加速度(正確には体感加速度)的に増加しています。さらに、メッセンジャーにはそれぞれ特徴があり、今後は複数のメッセンジャーを適材適所で使い分けていくことになるだろうと考えています。 ということでIIJでも複数のメッセンジャーを導入し、利用範囲や目的によって使い分けています。

鍵はbot

「Bルート x メッセンジャー」のカギは、bot(ボット)です。botは擬人化されたプログラムです。数年前までbotといえばマルウェアの一つで、感染するとユーザのコンピュータが遠隔制御されてしまうプログラム、、というイメージでしたが、実は当時からbotには悪いbotと良いbotがありました。ようやく bot=”悪” というイメージが払拭されつつありますが、最近では bot=”AIと会話する仕組み”、というイメージがつきそうで少し心配です。

メッセンジャーにおけるbotは様々な外部システムと連携し、メッセンジャーのユーザインタフェース、つまり会話形式でユーザにサービスを提供します。想像してみてください。メッセンジャーの画面から「who ken-k@」 などと入力して社員の内線番号や携帯番号の検索ができたら便利だと思いませんか? この内線検索botは実際にIIJ社内で開発し利用しています。また、スタンプにコマンドの意味をもたせ、スタンプを送るだけで当日のスケジュールを照会できる機能も実装しています。

内線検索の画面

内線検索の画面

スケジュール照会の画面

スケジュール照会の画面

direct は、bot開発用にSDKが無料で提供されています。(https://direct4b.com/ja/bot/)botをうまく活用することで、小さな業務もシステム化できます。しかもほとんどの人がマニュアルを読むことなく直感的に使えます。ちょっとした隙間時間にちょっとした仕事をこなし、それを積み上げると、そこそこ大きな効率化につながる、、というワークスタイルが実現します。ワークスタイル改革は、こういう小さなところから始めることもできそうですね。今後、企業内、企業間、B2C、C2C、様々なところでbotの利用が進んでいきそうです。B2Cの例として、関西電力では電力使用量をLINEで通知するサービスを提供していますし、ヤマト運輸ではLINEで不在通知やお届け予定の通知をしています。そして、Bルートで取得した自宅の瞬時電力値をdirectで見る、、というシーンをイメージして作ったモックアップのムービーがこちらです。これらは非常に典型的でわかりやすい適用例です。

bot=アプリケーション

もう一つ、botには重要な観点があります。それはbot=アプリケーションという観点です。サービス毎にスマホアプリを開発する必要はありません。 スマホアプリではなくbotを開発してメッセンジャーに登録すればOKです。(全ての業務においてメッセンジャーのUIが最適という主張ではありません)機能拡張や不具合修正もbotの対応で可能です。スマホアプリの再配布をする必要はありません。サービスを追加したい場合は、新たにbotを開発してメッセンジャーに登録します。そうすると例えばこんな画面になります。

複数のbotが表示されている画面

複数のbotが表示されている画面

電力、ガス、PV、エネファームなど様々な機器の稼働状況確認や、状態の通知、制御が可能になる、、、というものをイメージしています。このような機器やサービスを統合する重厚長大なスマホアプリを開発するのではなく、botによって機能やサービスを追加するというやり方です。重厚長大なアプリは開発・保守コストも大きく、OSバージョンアップ対応なんて考えたくもないですよね。そしてユーザの操作も複雑で使いづらいものになりそうです。結果、アプリが使われなくなっていく、、というのは言い過ぎでしょうか。

対話性能を劇的に向上させる技術

botとの対話性能を劇的に向上させる技術、それがdirect独自のアクションスタンプです。まずはこちらのムービーを見てください。botの問いかけに対し、ちくちくとテキストを入力して回答するのではなく、タップして選択肢から選ぶだけです。これがアクションスタンプです。一目瞭然ですので細かい説明は不要でしょう。なお、このbotの画面は、Bルートゲートウェイ機器のサポートをイメージして作成したものです。他にいくらでも応用ができそうですよね。

次回は「Bルート x メッセンジャー」のシステム構成をご案内します。そしてモックアップではなく、ken-kの自宅の瞬時電力値をメッセンジャーで参照してみます。

IIJはdirectの販売代理店です。ちょっと使ってみようかなと思ったら、こちらへどうぞ!(→ https://biz.iij.jp/public/application/add/33