CO2センサーで自宅の二酸化炭素濃度を測ってみた

日付:2019年02月19日 火曜日
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IIJ 齋藤です。

前回のブログでご紹介したとおり、Amazonで necolico HOME+ の販売を開始しましたが、セットされている環境センサを用いると、家の中の色々なデータが取得できるようになります。温度、湿度以外にも、照度や騒音、CO2といった様々なデータが取得できるようになりますが、どんな用途に使えるのか、あまりイメージが湧かない、という方も多いのではないかと思います。そこで、実際に我が家で取得したデータから、その活用法を考えてみたいと思います。

今回は、まず二酸化炭素(CO2)濃度に着目してみることにしました。

二酸化炭素濃度の基準値

まず、二酸化炭素濃度といえば、健康への影響がどうなのか、という点が気になります。いくつかの基準があるようですので、ちょっと調べてみました。

温 度 湿 度 二酸化炭素
厚生労働省 建築物環境衛生管理基準について 17℃以上28℃以下 40%以上70%以下 1,000ppm以下
事務所衛生基準規則 17℃以上28℃以下 40%以上70%以下 1,000ppm以下
(空気調和設備がない場合には5,000ppm以下)
学校環境衛生管理マニュアル 17℃以上28℃以下 30%以上80%以下 1,500ppm以下

また、こちらの記事によると、10,000ppm を超えると不快感が生じる、との記述もあります。やはり、基本は1,000ppm 以下が望ましい、というのが一般的な基準のようです。外気中のCO2濃度が概ね400ppm前後なので、その2倍程度、となります。

CO2濃度の測り方

T&D おんどとり「TR-76ui」を用いて測定してみました。本来はオムロン環境センサも使おうと思っていますが、今回は機材及びデータ整理の都合上、こちらを使うことにしました。ご容赦ください。(おんどとりの方が価格が高いので、より正確な測定値としてリファレンスになるかなという狙いもあります)

寝室

我が家の寝室は10畳の広さがあり、通常は家族4人(私、妻、小学生の子供二人)が寝ています。たまたま、2月6日の夜は私が出張でホテルに宿泊していたため、家族3人で寝ていた状況のCO2グラフがこちらです。家族3人で寝ているときは、ピークが1,500ppmぐらい。起床後、日中時間帯は500ppm以下まで下がります。私が一緒に寝ている2/7, 2/8 の夜はピークが2,500ppm近くまで上がりました。これを見る限り、単なる在・不在判定だけではなく、人数の判定さえももしかしたら可能かも?と思わせるデータとなりました。少なくとも、寝室で人が寝ている様子、就寝時間と起床時間はバッチリ分かりますね。(ちなみに、我が家はだいたい9:30までには子供達はベッドに入り、6:00までには全員起床していますが、概ねそれを裏付けるデータとなっています)

また、衛生基準の1,000ppm は大きく上回ってしまっています。本来は就寝中も換気出来ていた方が良いのかもしれませんね。。24時間換気は入っているのですが。

1FリビングのCO2濃度

我が家のリビングは18畳で、2Fまで吹き抜けになっている作りです。そのため、CO2濃度はそれほど変化しない環境かと思っていたのですが、実際測ってみるとそれなりに人の動きに連動したグラフにはなっているようです。ポイントとしては、

  • 子供が学校から帰ってきてから寝室に移動して寝るまでのおよそ16:00-21:00ぐらいまでの間にCO2が上昇している
  • 専業主婦の妻が一人で家にいる時間はほとんど上昇しない
  • なぜか夜の0:00~4:00ぐらいの間に上昇している時間帯がある

という状況でした。夜間上昇している要因についてはちょっと考えてみたのですが思いつきませんでした。また、1,000ppmを上回ることはありませんでしたので、衛生基準上は特に問題無いようです。

せっかくなので、同時に取得していた温度データもグラフにしてみました。我が家は通常、専業主婦の妻がずっと家にいますので、エアコンは日中常時ONの状況です。就寝時のみOFFにしていますが、これはその通りのデータとなっているようです。エアコンの消し忘れなどはなんとなく検知するのは簡単そうに見えます。

参考:車の中

こちらはグラフデータとしてはきちんと整理できていないのですが、参考までに自動車の室内でのCO2濃度も測ってみました。家族4人でのドライブ中のデータです。

運転状況 CO2濃度の変化
エアコン内気循環で運転中 15分ほどで1,000ppm→3,700ppmまで上昇
エアコン外気循環で運転中 1,000ppm前後をキープ
窓を開けて運転中 500ppm前後をキープ

ということで、内気循環で運転中はあっという間に衛生基準を超えるところまでCO2濃度が高まってしまうということが良く分かりました。

考察

CO2濃度は、まず室内の換気状況を把握するという利用用途については充分実用可能である、といえます。一方、狭い室内や車内では敏感に反応しすぎてしまい、その変動要因を推定するのが難しい状況も起こりえるようです。

また、人の在不在判定に使えるかも?とも考えられるのですが、頻繁に人が出入りするような環境では難しく、少なくとも30分〜1時間の単位で在室しているかどうかが分かるかな、という印象です。もう少し分析データを増やしていけば、在室人数の類推ももしかしたら可能かもしれません。少なくとも、寝室でのCO2モニタリングは我が家の場合、かなり精度良く就寝状況の把握に使えそうです。

色々興味深いデータも取れそうな気がしてきましたので、もう少し長期的に分析していきたいと思っています。