スマートメーターとの通信エラーの切り分け方

日付:2016年07月05日 火曜日
テーマテクノロジー

はじめまして。「IIJスマートメーターBルート活用サービス」の開発と運用を担当している藤本と申します。

IIJ がスマートメーターからBルートのデータを収集し始めて、1年と少しになりました。現在社内の実証実験などを通し、複数のスマートメーターからBルートデータを収集しています。その際、スマートメーターと通信するために注意しているポイントがいくつかあります。

今回の記事では

  1. スマートメーターと通信するために確認すべきポイント
  2. 「IIJスマートメーターBルート活用サービス」では情報をどのようにフィードバックしているのか

についてご紹介します。

スマートメーターと接続するために注意するポイント

スマートメーターとHEMS機器が接続するために注意すべきポイントについて、重要なものを挙げていきます。

Wi-SUN の電波強度

スマートメーターと HEMS 機器間の通信には、主な方式として 920MHz 帯の無線技術の一つである Wi-SUN という規格が使われます。Wi-SUN は通信可能距離が長く、障害物や他の電子機器からの干渉に強い電波規格で、ほとんどの家庭では 宅内の HEMS 機器と問題なく通信ができます。しかし、無線通信である以上、スマートメーターの周囲の環境や距離によっては正常に通信できない場合もあります。したがって、正常に通信できるかを判断しなくてはいけません。そのためには何を見ればよいのでしょうか。

私達は、「Wi-SUN の電波強度」を定期的に計測することで、安定して通信できるかどうかをチェックしています。一般的に、スマートメーターと距離が離れたり障害物の影響を受けることで、電波強度が低下し通信が不安定になります。スマートメーターと安定して通信するためには、Wi-SUNの電波強度が -88 dBm 以上であることが推奨されています(参考:経済産業省 HEMS-スマートメーターBルート運用ガイドライン)。

ちなみに社内の実証実験では、Wi-SUN電波強度は -40 dBm から -75 dBm の範囲に分布していることが多いようです。 私の自宅の場合、外にあるスマートメーターと玄関を挟んで 5m ほどの距離に置いた HEMS 機器との間の電波強度は -62 dBm でした。

Bルート認証

HEMS 機器からスマートメーターに接続するには、BルートIDとパスワードによる認証が必要です。もし間違った ID やパスワードを入力した場合、「認証失敗」となりスマートメーターとの通信ができません。

また HEMS 機器によっては、B ルートIDを間違えた時「認証失敗」ではなく「接続先のスマートメーターが見つからない」という状態になる可能性があるため注意が必要です。前述の通り Wi-SUN は通信可能距離の長い規格なため、HEMS 機器は通常複数のスマートメーターの電波を受信します。その状態でスマートメーターを区別するために BルートID を使用していることがあり、BルートID が間違っていると接続するスマートメーターを決定できないためそのようになります。

HEMS 機器の稼動状況

場合によっては HEMS 機器が正常に稼動しているか確認する必要があります。可能性としては低いですが、ハードウェア的な問題(USBドングルが正しく刺さっていないなど)が起こっている可能性も考えておく必要があるためです。他の点が問題なく、そもそもWi-SUNの電波が取得できていないような時はこちらも確認する必要があります。

USBドングルの抜けなどは HEMS 機器が目の前にあれば目視で確認することができますが、クラウドから HEMS 機器を管理している場合は盲点となりがちです。

管理用アプリケーションでのフィードバック

「IIJスマートメーターBルート活用サービス」で提供される管理用アプリケーションでは、上で挙げたような点に異常が起こっていないかを自動的に判別し、通知する機能を持っています。

こちらは管理用アプリケーションの実際のトップ画面です。

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トップ画面では異常が起こっている端末の台数と、直近に発生したイベントなどを表示しています。異常の発生や改善はイベントとして時系列で表示され、HEMS 端末が今どういう状況なのか知ることができます。

さらに詳しく異常の内容を知りたい場合は、異常サマリ画面を開きます。こちらは異常サマリ画面の一部です。

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異常サマリ画面では異常が発生している端末と、その異常の改善方法を見ることができます。HEMS 機器設置後にうまくBルートデータが取れなかった場合、これらの画面を見ることで原因の特定と対処を簡単に行うことができるようになっています。

また電波強度の値は異常がない場合でもグラフ画面に表示されています。

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電波強度の値は通常見ることが難しいですが、「IIJスマートメーターBルート活用サービス」を使うことで、データの欠損率と合わせてスマートメーターとの通信状況を確認することができます。

まとめ

スマートメーターと接続して Bルートデータを収集するために、確認すべきポイントを紹介しました。Bルートデータがきちんと届いていることを見るのが一番の正常確認ですが、もしそうでなかった場合原因を見つけなければいけません。

「IIJスマートメーターBルート活用サービス」ではこういった問題の発生を検知し、分かりやすくフィードバックすることで Bルートデータの収集をお手伝いしています。