スマートメーターとBOCCOを連携させる
IIJの末松と申します。初めまして。
今年度入社致しました、社会人一年生です。学生時代の研究テーマは「日本全国規模のセンシングシステムのための時空間分散データベース」でした。物理環境の情報をコンピュータ界に持ち込める”センサ”、夢がありますよね。
さて、今回は、そんなセンサの一つである”スマートメーター”の具体的な活用方法、「スマートメーターを活用するとこんなことも出来る」という例をご紹介したいと思います。
センサやスマートフォンアプリと連動して”聞く/喋る”「BOCCO」
ユカイ工学さんの開発するユニークな製品の中の一つに、BOCCOという留守番中の子どもの見守りを助けるロボットがあります。詳細は公式ページを参照ください。
下はBOCCOのイメージビデオで、活用例が紹介されています。この仕組みを、登場機器+αを整理して簡単にその下の図にまとめました。
このイメージビデオでは、BOCCOの活用例が紹介されています。女の子が家のドアを開くとセンサが反応し、両親のスマートフォンアプリにその通知が届きます。そして通知を受け取った両親はスマートフォンのアプリを介して、女の子にメッセージを届けています。その後女の子はBOCCOのボタンを押して、そのメッセージを再生しています。図にはありませんが、その後女の子が「ただいま。これから宿題をやるところだよ」とBOCCOに話しかけ、それに対して母親が返事をしています。
女の子の録音メッセージはテキスト化され、両親のスマートフォンに表示されます。また、女の子も両親も声だけでメッセージを投稿していますが、単純にチャットのようなテキストメッセージもスマートフォンから投稿できます。そのようなテキストメッセージも、BOCCOは流暢な日本語で喋ってくれます。
また、BOCCOには、現時点では一般公開されていませんが、開発者向けのBOCCO APIが用意されており、任意のプログラムから “メッセージの取得” 及び”メッセージの投稿”ができます。(IIJでは今回、ユカイ工学様から特別にAPI仕様の提供を受けています)
BOCCO APIを用いて投稿されたメッセージも他のメッセージ同様、流暢な日本語で喋ってくれます。
すなわちBOCCO APIを利用して、BOCCOに喋りかけられた言葉やスマートフォンアプリから直接書き込まれたテキストメッセージを取得し、それに応じた内容のテキストメッセージを投稿することでBOCCOに喋らせることができます。
もちろん、単純に定期的に喋らせるだけや、何か外的イベントが起こった時にだけ喋らせる、といったこともできます。
スマートメーターとBOCCOの連携
スマートメーターに関しての詳しい説明は先日の記事などを参考にしてください。
IIJでは IIJスマートメーターBルート活用サービス を提供しており、30分間隔の積算電力量(電気代の計算に使われる値)と30秒間隔の瞬時電力(リアルタイムの瞬間的な消費電力)を取得しています。またこのサービスでは過去分の電力データを蓄積しており、時系列のデータとして参照できます。こちらの記事にあるようなグラフを管理画面で見ることもできますが、それに加えAPIも用意しており、任意のプログラムから時系列データを取得できます。
従って、このスマートメーターサービスのAPIとBOCCO APIを両方利用した、下図にある電力監視アプリのようなものを作成することで、両者を連携させたサービスが実現できます。
端的に言えば、ユーザの問いかけや家の電力使用状況からわかるイベントなどをトリガーとして、BOCCOに電力データを絡めた任意の言葉を喋らせる、といったことができます。
具体的な例として「ブレーカーが落ちそうになったら警告する」と言った仕組みは
- Bルートで取得できるリアルタイムの瞬時電力を、任意の間隔でループし取得し続ける。
- 取得した瞬時電力から電流値を計算し、家の契約アンペア値を比べ、閾値に近づいたら BOCCO APIを用い警告メッセージを投稿する。
- エンドユーザにBOCCOがその警告メッセージを読み上げる。
といった流れで実現できます。他にも、電力を使った見守りサービスでのお知らせをわかりやすく伝えるアプリなど、色々な機能を実現していきたいと考えています。
デモアプリを作ってみました
ということで、まずは簡単に「今日 or 昨日 or 一昨日の消費電力量(=積算電力量)をBOCCOに聞くと答えてくれる」といったデモアプリを作成してみました。
デモアプリの主な流れは、
- 一定間隔でBOCCOの投稿メッセージを取得する。
- その投稿メッセージが「〇〇の消費電力量」にマッチし、かつ〇〇が「今日、昨日、おととい」のいずれかであれば次のステップに進む
※ BOCCOに話しかけた内容はテキスト化され投稿されます。限度はあるようですが大抵は適切な漢字に変換してくれます。 - 指定の日の消費電力量を弊社のスマートメーターサービスのAPIを用い取得する。
- BOCCO APIを用い、下記フォーマットでテキストメッセージを投稿する
フォーマット: はい。〇〇の消費電力量は△△kWhです。
といった動きになります。
なお、7/21のイベント Lead Initiative 2016 にて上記の指定日の消費電力量を答えてくれるデモアプリを展示します。
展示の担当者にお声掛け頂ければ上記のデモをお見せ出来ますので、興味を持たれた方は是非ご来場ください。
まとめ
スマートメーターの活用例として、BOCCOとの連携サービスの例を紹介しました。
この記事を読まれた方の中で、ご自身の環境でのスマートメーターやBOCCOの便利な利用方法が思い浮かんだ方が1人でもいらっしゃれば嬉しく思います。