改正FIT法とスマートメーター

日付:2017年03月24日 金曜日
テーマプロダクト&サービス,業界動向

IIJ 畠山です。

太陽光発電をはじめとした、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の実施方法を規定した法律が改正されることはご存じでしょうか?
対象者の方には案内のハガキが届き始めているようです。この「改正FIT法」ですが、2017年4月からいよいよ施行されます。

資源エネルギー庁のサイト:
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kaisei.html

この改正の影響もあってか、ここ最近太陽光や風力などの発電事業者の方からIIJの
スマートメーターBルート活用サービスへのお問い合わせが増えています。
今回は、この「改正FIT法」の要点とスマートメーターの活用について解説します。

改正FIT法の要点

 

出典:資源エネルギー庁 資料

こちらは資源エネルギー庁が2016年6月に公開した資料で、改正のポイントが記載されています。
この中にある『新認定制度』というのが改正FITの大きな変更点の1つです。従来は設備に対して行われていた認定が、『事業』に対して行われるようになります。
そして、その『事業』が確実に実施されるよう保守・点検が義務付けられるようになり、違反時には改善命令や認定取り消しなどの処分が下される可能性があります。

事業に対する認定について改正FIT法の原文では以下のように記されています。

(再生可能エネルギー発電事業計画の認定)
第九条
自らが維持し、及び運用する再生可能エネルギー発電設備を用いて発電した再生可能エネルギー電を特定契約により電気事業者に対し供給する事業(以下「再生可能エネルギー発電事業」という。)を
行おうとする者は、再生可能エネルギー発電設備ごとに、経済産業省令で定めるところにより、再生可能エネルギー発電事業の実施に関する計画(以下「再生可能エネルギー発電事業計画」という。)を作成し、経済産業大臣の認定を申請することができる。

三項
経済産業大臣は、第一項の規定による申請があった場合において、その申請に係る再生可能エネルギー発電事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
一、再生可能エネルギー発電事業の内容が、電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー電気の利用の促進に資するものとして経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
二、再生可能エネルギー発電事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
三、再生可能エネルギー発電設備が、安定的かつ効率的に再生可能エネルギー電気を発電することが可能であると見込まれるものとして経済産業省令で定める基準に適合すること。
四、申請者が次のいずれにも該当しないこと。
 イ、この法律又は電気事業法の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
 ロ、法人であって、その役員のうちにイに該当する者があるもの
五、再生可能エネルギー発電設備が第四条第一項の規定による指定をした再生可能エネルギー発電
設備の区分等に該当する場合においては、次のいずれにも該当すること。
 イ、申請が第五条第二項第八号に掲げる期限までに行われたものであること。
 ロ、第六条の規定により提出された再生可能エネルギー発電事業計画について経済産業省令で定める重要な事項の変更がないこと。
 ハ、申請者が第七条第七項の規定による通知を受けた者であること。

出典:電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)

事業が認定されるためには、「再生可能エネルギー発電事業計画」の作成・申請が必要となります。

資源エネルギー庁ではこの「再生可能エネルギー発電事業計画」を作成するためのガイドラインを制定し、資源エネルギー庁のサイト内で公開しています。
このガイドラインは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスと発電事業の種類毎に作成されており、

それぞれ

  • 企画立案
  • 設計・施工
  • 運用・管理
  • 撤去及び処分(リサイクル、リユース、廃棄)

の構成で詳細が記されています。

例えば、太陽光発電のガイドラインの「運用・管理」の章では以下のような記載がされています。

第3節 運用・管理
2.通常運転時に求められる取り組み
(2)発電性能の維持に関する取り組み
 (1) 保守点検・維持管理計画に則って、保守点検及び維持管理を実施すること。
 (2) 発電電力量の低下や運転停止の未然防止に積極的に努めること。
 (3) 民間団体が作成したガイドライン(付録参照)を参考にし、同等又はそれ以上の内容により、着実に保守点検及び維持管理を実施するように努めること。
 (4) 保守点検、維持管理を実施した内容について記録、保管すること。
 (5) 発電電力量を計測し、記録するように努めること。
 (6) 発電性能の維持に関する作業(除草時の除草利用等)を実施するに当たり、地域住民や周辺環境地域に影響が及ぶことがないように努めること。

【解説】
発電性能の維持管理については、これまでに、PCSの停止や太陽電池モジュールの発電特性の低下が発生している事例が報告されており、その要因として、PCSの周辺設備(空調、ファン、放熱口等)の設計や運用に不備があり、温度管理に不具合が生じ、高温のためPCSが停止する事例や植物等の生育による日照障害が発生し、これにより発電電力量が低下した事例が存在する。これらは、発電設備の設計・施工を適切に行うとともに、発電性能の維持管理の実施により回避することが可能である。
そのため、積極的な発電性能の維持管理を実施することは、安定的かつ効率的な事業を行うためには重要である。(2)について、発電電力量の低下や運転停止を積極的に防ぐためには、遠隔監視システムにより、発電電力量の計測やPCSのエラーメッセージを監視することが有益である。
発電電力量と日射量との比較などにより分析することや、地域の他の発電設備の発電電力量と比較する等により、発電性能の低下を発見できることもある。
また、電気主任技術者を選任している場合、安全確保の観点と発電性能の維持の観点において、実施する内容を検討し、適切な保守点検及び維持管理を実施することが重要である。
特に、小規模な発電設備を中心に、遠隔監視システムの導入率が低く、電気主任技術者等による定期点検など頻繁に発電設備の状態を把握する体制も整っていない場合において、発電性能が低下していることや発電設備の安全が損なわれていること、公衆安全が損なわれていること等の発見が遅れることも報告されている。
発電電力量が維持されていることを常時確認していれば、このようなトラブルが発生した場合でも早期に発見できる可能性が高くなることから、発電電力量のモニタリングを行い、記録することは発電性能の維持及び安全の確保の観点から有効である。なお、発電設備の安全が損なわれている状態においても、発電電力量に影響がでないこともある。
そのため、安全の確保については、「2.(1) 安全の確保に関する取組」で示した内容により行う必要がある。

(4)について、FIT法においては、事業計画に従って適切な保守点検及び維持管理を行うことを求めている。そのため、適切に実施していることを示すために、実施した保守点検及び維持管理の内容について記録、保管し、経済産業大臣の求めに応じて、提出できるようにしておくことが必要である。

(5)について、FIT法では、再生可能エネルギー発電事業者に対して、発電電力量等の情報について経済産業大臣に適切な情報提供を行うことを求めているため、発電電力量を計測、記録し、経済産業大臣の求めに応じて、提出できるようにしておくことが必要である。

出典:事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)

実際のガイドラインを見ていただくのが一番ですが、【解説】部分がかなり具体的な内容となっています。
(太陽光発電のガイドラインは特に詳細に記載されています。)

ここで挙げた太陽光発電のガイドラインの場合では、

  • 保守点検及び維持管理の実施
  • 実施した保守点検及び維持管理の内容についての記録・保管

が実施コスト的な観点でポイントとなってくるかと思います。

スマートメーターの活用

FITで対象としている設備について資源エネルギー庁のサイト内に各発電設備の認定基準の一覧が記載されています。

(この認定基準は4月からの改正FITに関わるものではなく、従来からの発電設備の基準となります。)

この一覧内に以下のような記述があります。

電気事業者に供給された再生可能エネルギー電気の量を計量法に基づく特定計量器を用い適正に計量することが可能な構造となっていること

ここでの「計量法に基づく特定計量器」とは言うまでもなく「従来型の電力メーター」又は「スマートメーター」を指しています。
つまり、発電設備は基本的に、スマートメーターへの切り替えが可能、もしくはスマートメーターが既に設置されているということになります。

スマートメーターではBルートを用いてメーターが検針した値を取得することができます。

発電設備の構成にもよりますが、スマートメーターから売電量(≒発電量)を定期的に取得することで、

  • 発電量低下の監視
  • 売電量の計量・記録・保存

が簡単に実現できます。

実際に、以前に本ブログの記事でもご紹介した株式会社エコロジア様は、実際にスマートメーターBルートを取り入れた遠隔での設備管理を行われており、導入の成果などをコーポレートサイトにてご紹介されています。

※株式会社エコロジア様の事例ご紹介記事は こちら

スマートメーターの普及も進んでいますので、改正FITで求められている『保守・点検』のツールの1つとしてスマートメーターBルートが注目されつつあるようです。

IIJスマートメーターBルート活用サービスでは、太陽光発電の監視に最適な以下の特徴があります。

  • スマートメーターの検針値を簡単にクラウドに保存でき、売電量(≒発電量)のグラフ表示が可能。生データの取り出し(API or JSON)にも対応
  • Bルート対応アダプタの SA-M0は、-10℃~60℃までの動作温度に対応し、幅広い設置環境に適用可能
  • 必要最低限の機能に抑え、低コストでの運用が可能(きめ細かい制御アプリも必要に応じてAPI経由で開発可能)

興味をお持ちの方は是非お気軽にご連絡ください。