Bルートを利用するまでの流れについて

日付:2016年08月09日 火曜日
テーマテクノロジー

IIJのtsaitoです。先日、ゲリラ雷雨で我が家が早朝から3時間停電してしまいました。オール電化のためにお湯が出ず、朝から冷水シャワーを浴びて出勤するという切ない体験をしました。

さて。そもそもですが、Bルートを使うためにはどんな手続きが必要なのか、なかなか分かりづらいのが現状かもしれません。
Bルートを使うためには、大きく分けて以下の準備が必要となります。

  1. 家の電力メーターが「スマートメーター」に交換されていること。
  2. Bルートの利用手続きが完了し、認証ID・パスワードが発行されていること。
  3. Bルートに対応した、認証済みのHEMS機器が準備されていること。

よく耳にするのが、「うちはスマートメーターじゃないからBルート使えない」と勘違いされているケースです。実は、Bルートは誰でも使えるようになっているのです。今回の記事では、そのあたりの事情も踏まえつつ詳しい流れをご紹介します。

スマートメーターへの交換

そもそも、スマートメーターとは何かという話なのですが、良く目にされる「スマートではないメーター」はこんなものですね。

 

 

それに対し、スマートメーターとはこのようなものになります。(こちらのメーターは東京電力のものです)

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くるくる回る円盤が無くなり、全てデジタル表記になります。ただ、デジタル表記のメーター=スマートメーターとは限りませんのでご注意を。

スマートメーターの内部には、通信モジュールが内蔵されており、いわゆるAルート(電力会社向けのデータ通信部)とBルート(HEMS向けのデータ通信部)がそれぞれ別に接続されています。ただしこの部分は封印されているため、一般の方が勝手に開けて中を見ることはできません。

スマートメーターも含め、電力量メーターは一般的に検定を受け、計測値(請求額)が正しいことを保証されています。ただし、この検定には有効期限があり、通常10年間となっています。期限を経過したメーターは、故障の如何に関わらず、必ず交換されることになります。
このため、黙っていても10年以内の間にはスマートメーターに交換されることになります。さらに、電力会社は2024年までに全てのメーターをスマートメーター化するとしており、10年に満たないメーターでも電力会社の設置計画に従って順次交換されていくことになっています。

で、ここからが本題ですが、実は検定期間や電力会社側の都合によらず、こちらの都合でもスマートメーターに交換する方法があります。それが「電力会社を切り替えること」もしくは「Bルート開通を申し込む」ことです。電力会社の切り替えはなんとなくイメージが沸きやすいと思いますが、Bルート開通申込みでメーター交換、というのは意外に思われるかもしれません。

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この辺のからくりについては、経済産業省 JSCA スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会の資料として公表されている「HEMS-スマートメーターBルート運用ガイドライン」をご覧いただくとよく分かります。(参考リンク)

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こちらの図にあるように、Bルートの利用申込みがあった場合、スマートメーター設置者(東京電力や関西電力などの一般電気事業者)は、もしスマートメーターが設置されていない場合、新たに設置する必要がある、というフローが定義されているのです。
しかも、良く見て頂くと分かるように申込みがあってから設置・設定を完了するまで「13営業日」で行う、とされています。これ、実際には結構設置業者からすると大変だと思いますが、頑張ってもらうしかないですね…

なお、スマートメーターへの交換の際には、工事担当者の方の都合によるところが大きいですが、「一時的な停電」が必要になるケースがあるようです。

また、これも参考情報ですが、太陽光発電を行っている家の場合、売電メーターが追加されて2つのメーターが動いているはずですが、これはスマートメーターへの交換の際に1つにまとめられることがあります。

Bルート利用手続きについて

そこで、まず最初に必要となる「Bルートの利用手続き」ですが、これはどのように行うのでしょうか。これは、各電力会社によっていくつかのパターンがありますが、概ね「Webで申し込む形式」と「書類を記入し窓口に送付する形式」に大別されているようです。

2016年8月現在では、申込み手段は下記のようになっているようです。詳細は”XX電力 Bルート” 等で検索してみてください。

電力会社 申込み方法
北海道電力 申込書を記入し、郵送もしくは窓口への持参
東北電力 申込書を記入し、郵送もしくは窓口への持参
東京電力 Webからの申込み
中部電力 申込書を記入し、郵送もしくは窓口への持参
北陸電力 申込書を記入し、郵送もしくは窓口への持参
関西電力 申込書を記入し、郵送もしくは窓口への持参
中国電力 申込書を記入し、郵送もしくは窓口への持参
四国電力 申込書を記入し、郵送もしくは窓口への持参
九州電力 Webからの申込み
沖縄電力 コールセンターへの問い合わせ

Bルートを申し込む際には、「HEMS機器を設置しているかどうか」を聞かれることがあります。厳密な型番等を聞かれる、というところまでは多分無いと思いますが、HEMS機器が無いのに申し込まれても(使われないのは)困る、といったところでしょう。

申込みが終わり、無事に処理が完了すると「Bルート認証情報」が送付されてきます。こちらも電力会社によってフォーマットが異なりますが、概ね書面での発行となるようです。(東京電力の場合では、BルートIDがメール、パスワードが書面となっているようです)
このBルート認証情報が無いと、実際にはBルートを使って情報を取得することはできません。言い換えると、単に10年経過して勝手にスマートメーターに交換されただけの状況ではBルートは使えません。ご注意ください。

代行申込みについて

Bルートの申込みは、書類を記入したり窓口に郵送したりと、実際にはちょっと面倒なところがあります。そこで、サービス事業者にBルート申込みを委任することが可能なフローも用意されています。この場合、Bルート認証情報の設定やHEMS機器の導入などもサービスとしてワンストップで提供されることが可能となります。「IIJ Bルート活用サービス」ではBルート認証情報はお客様自身での設定を行わず、クラウド上で集中管理することが可能となっていますので、まさにうってつけですね。

HEMS機器の準備

Bルートデータを取得するためにはHEMS機器が必要です、、という話なのですが、具体的にどんな機器が使えるの?というのがなかなか分かりにくいです。

スマートメーターに接続する機器は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • ECHONET Lite という家電制御のためのプロトコルが実装され、かつ「スマートメータークラス」への対応が行われていること
  • Wi-SUN もしくは G3-PLC という通信規格のインターフェイスを持っていること
    • Wi-SUN 及び G3-PLC についても正規の認証が取得されたモジュールを利用していること
  • ECHONETコンソーシアムが定めるAIF(SMA)認証を取得していること

最後の条件が非常に重要です。とある技術系のブログなどでも、Wi-SUN のUSBドングルを入手して Raspberry Pi などで「スマートメーターに繋いでみた」というエントリがあったりしますが、これは実はやってはいけません。上の方でご紹介した「Bルート運用ガイドライン」にもこの点は明記されています。

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なかなか手軽に使う訳にはいかない、というのがもったいないところではありますが、さりとて正規に認証されていない機器を使って不正なアクセスを行うことがあってはなりません。

ということで、実際に使えるHEMS機器ですが、実はECHONETコンソーシアムに認証取得済みの機器が掲載されており、こちらから調べることが可能です。

https://echonet.jp/product/sma/

中には個人で直接購入できるものや、サービス契約をした上でのみ利用可能な機器もあります。詳細については各メーカーにお問い合わせいただければと思います。
ちなみに個人で認証を取ることは、おそらく現状の制度上はかなり厳しいと思われます。(エコーネットコンソーシアムに加盟した上で、認証機関に数十万円の認証費用を払う必要があります)

Bルートを使ってハックしてみたいのだけど。。

そうおっしゃるエンジニアの方も(きっと?)多いのでは無いかと思います。そういうときに使えるのが IIJ が提供するBルートアダプタ「SA-M0」です。

http://www.iij.ad.jp/biz/smart-meter/sa-m0/

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この機器は、IIJのスマートメーターBルート活用サービスで使う事を前提として開発された商品ですが、実は既存のスマートメーター非対応のHEMS機器や、一般のPC等からでも簡単にスマートメーターのデータにアクセスできるインターフェイスを用意しています。簡単な模式図がこちらとなりますが、要するにスマートメーターのECHONETプロファイルをそのままEhternet経由にブリッジして見せることができるようになります。

  • Wi-SUN から Ethernet に変換しつつ
  • ECHONET Lite 的にはスマートメータークラスがそのまま見えて
  • 必要な認証も取得済み

ということで、ハッカーの皆様にはおそらくちょうどいい感じの機器ではないかと。

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ただ、残念ながら現在こちらの機器は事業者の方向けのみの提供方法しか用意しておりません。現在、個人向けの直接販売ができるよう準備を(こっそりと)進めておりますので、今しばらくの間お待ちいただければと思います。

ということで、色々ごちゃごちゃとめんどくさいところもありつつも、Bルートを使うまでの流れについてご理解いただけますと幸いです。