高圧スマートメーターの精度

日付:2019年04月02日 火曜日
テーマ業界動向

IIJ 畠山です。
高圧スマートメーターBルート活用サービスをお使いのお客様から稀にいただくお問い合わせの中に、「高圧スマートメーターの精度」に関するものがあります。
このメーターの精度に関しては、我々もサービス開発時にいろいろと悩まされた部分です。

デマンド値と消費電力量との関係

まず本題であるメーターの精度の話に入る前に、前提としてデマンド値(kW)と消費電力量(kWh)の関係をおさえておく必要があります。
以前、デマンド値の管理という記事でも解説しましたが、デマンド値(需要電力)とは、30分間の平均使用電力(kW)を表しています。
一方、消費電力量(kWh)は、1時間の平均使用電力を表します。

例えば、消費電力が2kW(2000W)の機器を30分間連続して使用した場合、デマンド値は『2kW』となります。消費電力量の方は2kWを30分(0.5時間)を使用したということですので、2kW×0.5時間=1kWhとなります。
つまり、デマンド値(kW)と消費電力量(kWh)の間には『デマンド値(kW)=消費電力量(kWh)×2』という関係が成り立ちます。

実際は…

百聞は一見にしかずです。以下は、ある日の弊社設備の実績グラフです。各グラフの先頭の0:30分の測定値に注目してください。

デマンド実績の方は 536.4kW、消費実績の方は 252kWh となっています。

おかしいですよね?
『デマンド値(kW)=消費電力量(kWh)×2』の関係が成り立つはずなのに、252kWh×2=504kWとなるので536.4kWと比べると32.4kWの差分があります。
これは上記の説明と矛盾しています。

差分の正体

デマンド値(kW)と消費電力量(kWh)は高圧スマートメーターから取得した値を元に算出しています。
当ブログの読者の方は既にご存知かとは思いますが、高圧スマートメーターとの通信規格はECHONET Liteに準じており、取得できるデータの種類は規格で決まったものとなっています。

消費電力量(kWh)は以下のような計算式で算出されます。

消費電力量(kWh)=定時積算有効電力量計測値(EPC:0xE3)×係数(EPC:0xD3)×係数の倍率(EPC:0xD4)×積算有効電力単位(EPC:0xE6)

定時積算有効電力量計測値は、積算電力量のカウンタ値です。1、2、3、4、5…と1つずつ増えていきます。
そこに、係数・係数の倍率・単位を掛けることで電力量の値を算出しています。

例えば、係数が2.0の場合は、換算した積算電力量は、2.0、4.0、6.0、8.0、10.0と2.0ずつ増えていきます。
そのため、3.0や3.5といった中間の値は存在せず、2.0~3.9までの値は全て2.0に丸められてしまいます。

一方、デマンド値(kW)は以下のような計算式で算出されます。

デマンド値(kW)=定時需要電力(EPC:0xC3)×需要電力単位(EPC:0xC5)

デマンド値の計算式には、消費電力量(kWh)の係数のようなパラメーターは存在しません。メーターから取得した値をそのまま使うことができます。

先ほどグラフで例示した弊社設備の場合、係数・係数の倍率・単位を掛けた値は 36kWh となっています。 つまり、積算電力量のカウンタ値あたり、36、72、108、144…と36kWhずつ増えていきます。 一方、デマンド値の方は係数には依存しない値です。36の倍数になる時もありますが、そうならない時もあります。 これが差分の正体です。

最後に

係数・係数の倍率は、設置されているメーターの電力管区・メーカー・契約電力の容量によって変わってきます。
これまで弊社が確認できている中では、最も係数が小さいケースは0.1kWh刻み、最も大きいケースで36kWh刻みとなっていました。
係数が小さい方が、デマンド値と消費電力量の差分が小さくなります。そして、差分が小さければ小さいほどデマンド予測の精度は向上します。

なかなか難しいことかもしれませんが、高圧スマートメーターの普及と共に、高圧スマートメーターの精度も向上されていくことを期待しています。